「悪霊の家」


キーパー:Einh

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Chapter H 後日談
叔父さんから感謝状と報酬が全員に届いた。事件は完全勝利だ。

送り主不明の手紙が全員に届いた・・・

悪霊の家・真相:
君達の物語、確かに見届けた。

私は事の真相を知っているが、
探索者が事件を解決させるまで、
一切の援助を行わない。
見届ける事が使命だからだ。
事が終わった後で、真相を伝えるのが私の役割だ。

まず、事前調査についてだ。
君達は、多少運任せの部分もあったが、
この事件で手に入る全ての情報を手に入れた。
それこそ、この事件を解決させるだけなら不要である情報も含めてだ。
満点を出せる。

黙想チャペルが結局何だったのかは、未だ不明だし、
内容の読めない人の皮で出来た本の正体も不明だ。
まぁ、私はその本が何なのか知っているのだがね。

コービットについて。
コービットの行動方針はシンプルだ。
屋敷に居るものを、住人であれ探索者であれ追い出そうとする。
殺戮者ではないんだ。
コービットは安息を求めた。
永遠にそこに居て、隣に《空鬼》が居れば満足だった。
自身に害ある存在でも、そいつが屋敷の探索を諦めれば、
コービットは深追いしない。
コービットはそれで良かったんだ。

コービットは生前、自室だった寝室3を魔術的テリトリーとしている。
寝室3でのみ、コービットは何のリソースも無しに
ポルターガイスト現象を起こす事が出来る。
よってコービットは探索者を寝室3に誘導し、
殺害する事を目標としている。
コービットは様々な手段で、君達を寝室3に誘導しようとしたが、
どうやら逆効果だったようだな。
君達は寝室3を最も危険な場所として敬遠してしまったからだ。
結局、コービットは魔術素養の低いものを操り、
寝室3に無理やり進入させたが、
探索者の殺害は失敗に終わったようだ。
あれは本当に幸運だったな。
運が悪ければ戦線離脱だった。

地下において、
君達は魔法のダガーを持ち去った。
これは非常に良い選択だ。
魔法のダガーが攻撃を行うには、
コービットは魔力を消費する。
コービットの現在魔力が、魔法のダガーの精度だ。
あの時は随分弱ってた。
ダガーは持ち去られたが、
コービットは探索者が一時的に退散した事に安堵しただろう。
あの時、コービットの魔力は5を切っていた。
支配の魔術は3を使用するし、
朽ちた体を動かすにも1分で2の魔力を要する。
コービットは魔力の回復を自然回復に任せるしかない。
それが決定的な弱点といえるだろう。

話がそれてしまったが、
魔法のダガーを持ち去った事によって、
コービットは《空鬼の召喚/従属》を行えなくなった。
もし君達が魔法のダガーを持ち去らなければ、
最悪の場合複数の《空鬼》と戦うハメになっていた。
コービットの魔力が許す限り、《空鬼》はいくらでも沸くだろう。
探索者が一時的に撤退した事により、コービットの魔力は回復したが、
もはやコービットは、限りある自身の魔力と、
常に控えさせていた護衛の《空鬼》1匹だけで、
探索者をどうにかしなければならなくなった。
もう手詰まりと言っていい。
コービットはこの時点で覚悟を決めていたのかもしれない。

コービットの肉体について、
コービットは《肉体の保護》の魔術をオリジナルのものに昇華させた。
君達はゾンビと呼んでいたが、独自の《肉体の保護》を施したコービットは、
生きてる死体だ。
コービットの精神は朽ちた肉体の中に確かにあった。
《肉体の保護》は一定の装甲を一時的に得るだけだが、
コービットは一定のダメージを完全に無効化出来る。
コービットにダメージを与えるためには、この一定値を超える暴力が必要だ。
無効の範囲はコービットの耐久力の半分以上に及ぶ。
つまり、都合2回貫通させればコービットは滅ぶわけだ。
コービットはリボルバーの3連射によって貫通を喰らい、
完全に諦めた。
最後は、リボルバーの射手を支配し、自害に至った。

最後に、《空鬼》はコービットを連れ去り、
安全な場所に逃げようとした。
これはコービットの命令に違反する行為だ。
コービットは《空鬼》に、
「私に害成す存在を殺せ」と命令されていた。
「安全を優先しろ」とは言われてなかったんだ。
安全を優先するなら、探索者が撤退した時に、
《空鬼》による空間移動で逃亡すべきだった。
だが、コービットは屋敷に固執していたんだ。
それでも《空鬼》はコービットを連れ去ろうとした。
主従関係以上のものが、そこには確かにあったのだ。

結局、こんなところだ。
君達はコービットの屋敷を解決させた探索者として、
その筋では有名になっている。
私の見立てでは、程なくして次の依頼が舞い込むだろう。
君達がまた、別の事件に臨むなら、私は全てが終わった後に、
一方的な連絡を行うだろう。

君達の物語を、私は最後まで見届ける。 F.P.

Nanashi
今回の件でコレクションの写真が増えたようだ。
Tea
コービットが使用していた「魔法のナイフ」を手に入れた。

送り主不明の手紙は、TEAだけ2通届いた。
空鬼取扱説明書と書かれている・・・

君はどうやら、《空鬼の召喚/従属》の魔術を会得したようだね。
空鬼の生態については、コービットの日誌に書かれていた通りだ。
まぁ、あまり詳しくは知られていない種族なんだ。
クトゥルフ神話の分類で言えば、下級の独立種族にあたるが、
まぁそんな事はどうでもいいだろう。

種族に対する《召喚/従属》は、種族に対して効果を発揮するため、
実際に召喚される個体には、ばらつきがある。
コービットが触れなかった《空鬼》の特徴を一つ挙げるならば、
特別賢い《空鬼》は、何らかの呪文を知っている可能性がある。

コービットはこの事を瑣末な事と捉えて記録しなかった。
コービットは、魔術師とは自分自身なのであり、
使い魔が魔術を使うのを良しとしなかったのだろう。
また、相互の意思疎通が困難なため、《空鬼》が呪文を知っていても、
それを研究する手段が無かった点も切り捨てられた要因の一つかもしれない。
そのため、コービットは幾度の召喚実験の末、
最もタフで献身的な個体と《契約》を行った。
《契約》については後述する。
種族に対する《召喚/従属》魔術にとっては非常に重要な儀式だ。

具体的な《空鬼の召喚/従属》の魔術の行使手段を記す。
必要なものは、魔力を秘めた刃物だ。
君は既に入手しているようだね。
そして、術者のマジックポイントを捧げる。
どのくらいのマジックポイントを捧げるかは自由だ。
多くを消費すればより確実に召喚できるだろう。
手順は魔力を秘めた刃物をを持って呪文を詠唱するだけだ。
呪文の詠唱は10秒程度で終わる。
比較的容易な魔術と言える。
だが、正しい手順を踏んでも、召喚に失敗する可能性がある。
失敗しても、大惨事にはならない。
単に来ないだけだからだ。
《空鬼》の性質上、日光の当たる場所で召喚を行ってはいけない。
《空鬼》は混乱して、命令に従えないだろう。
君に危険が及ぶ可能性が高い。
具体的な成功率について、
君はマジックポイント4を捧げて、ようやく五分の賭けといったところだ。
無論、この手の魔術は精神を蝕む。
使えば使うたびいくらかの正気度を失うだろう。
だが、よほど乱用しない限り発狂する可能性は低い。
その点は安心して良いだろう。

《契約》について。
種族に対する《召喚/従属》の魔術は上記の通り、
無作為に選ばれた個体が召喚されるが、
術者が個体に名前を与える事により、《契約》が可能だ。
召喚実験で召喚を繰り返し、
君が望む個体に命名すれば良い。
それだけで《契約》は成立する。
固有名という文化そのものが存在しない種族にとって、
名前を受けるという事は形容しがたい重要な経験だ。
《契約》を受けた個体は、君に尽くすだろう。
君が望めば、確実に《契約》した個体を召喚できると言う事だ。

《召喚/従属》の魔術は、
一方的にではあるが術者の意思を対象に伝える事が出来る。
《空鬼》はおそらく、自分がどのような特徴を持つか、
なんらかの手段で伝えてくれるだろう。
ただし、《契約》は一つの種族につき一人だ。
重婚罪だからな。
まぁ、冗談は置いといて、
《契約》の後にさらなる《契約》を行えば、
以前の《契約》は効果を失い、
その個体は君の事を忘れるだろう。

《契約》について、アドバイスが出来る。
《鏡牢の召喚儀式》を使うといい。
日光の届かない場所で、
真円の中に五芒星を描き、
中心に鏡と召喚に必要な祭具を置くんだ。
《空鬼》の場合なら魔法のダガーだな。
後は、《空鬼の召喚/従属》の呪文を唱えれば良い。
そうすれば、《空鬼》は鏡の中に擬似的に召喚される。
召喚された者は鏡の中から出る事は出来ない。
安全にコンタクトが取れるだろう。
擬似的な召喚であるため正気を失う事もない。
マジックポイントの許す限り、
安全に《契約》を結ぶ個体を選別出来るだろう。

《空鬼》は特に個体差の激しい種族だ。
だから詳しく知られていないのではないか、と私は思う。
君が《空鬼》に何を望むか、よく考えて《契約》を行うと良いだろう。
《契約》を結ばずに召喚を終えた《空鬼》とは、
おそらく二度と会うことはない。
一期一会だ。

最後に、根本的な制限を記す。
多くの《召喚/従属》は24時間が限度だ。
召喚された者は、24時間で召喚前の世界に自動的に送り返される。
そして、複数の同時召喚も君には不可能だ。
コービットは研究の末、ほぼ永続的かつ複数の同時召喚を可能としていたようだが、
君には難しいだろう。
そこまで魔術をマスターする頃には、
まともな人間ではなくなってる可能性が高い。
それこそ、コービットのように。

それでは、幸運を祈る。 F.P.

Hazu
原因不明の高熱が出た。
コービットの爪が原因だろうか。
現代医学では太刀打ち出来ない。
自然回復を待つしかないが、ごくわずかに体が衰弱していくのを感じる・・・
Meza
彼の家では、鍋のフタが元気に走り回っている。
Taro
原因不明の高熱が出た。
太郎の腹部は臓物がはみ出たように見えたが大したことはない。
自宅療養中だ。

幸運ロール43
親戚のコネで警察に就職が決まった。
Kity
今回は彼の力を借りるまでもなかったようだ。

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本作は、著:サンディ・ピーターセン、リン・ウィリスほか/「クトゥルフ神話 TRPG」 初版、エンターブレイン、2004年
のシナリオ「悪霊の家」からの記述を引用しています。