シナリオ:「かえるのうた」
村唯一の食堂に召集される探索者たち。 集まったその場所に有田の姿はない。木畑は説明を求められるが…… |
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1.そばにいないね |
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KP:正午を少し過ぎたころ、食堂「かつら木」で待つ凛、月渚のもとに木畑がやってきます。彼一人で、有田の姿はありません。 鬼怒 凛:有田は? 弟切 月渚:有田先輩は…? 弟切 月渚:山姥に食べられ…? 木畑 多朗:そのことなんだが... とりあえずみんな落ち着いて聞いてくれ。 木畑 多朗:このボイスメモを。 弟切 月渚:え? KP:木畑がボイスメモを再生します。 KP:それは有田楠生の声で、こう続けます。 ![]() 弟切 月渚:??? 弟切 月渚:有田先輩が毒薬と睡眠薬を…? 木畑 多朗:あぁ... 俺はそのことを知ってしまって、協議の結果こうなった。 鬼怒 凛:協議・・? 弟切 月渚:どういうこと? 木畑 多朗:有田は俺しか知らない安全な場所に隠れてもらうことで手を打った。 弟切 月渚:ナニソレ?ハ?チョットマッテチョットマッテ… 弟切 月渚:えーっと整理すると 弟切 月渚:木畑先輩は有田先輩が持ってた毒薬と睡眠薬を何かの拍子に発見して 弟切 月渚:危険なので拘束したと 木畑 多朗:というかそれを知っていたから有田を一人にしたくなかったんだな。 弟切 月渚:知っていた…!? 御数木 梓紗:うーん……何かやってそうではあったけど、毒薬ね…… 弟切 月渚:睡眠薬はイメージぴったりですけど、毒薬は私の解釈とは異なりますね… 弟切 月渚:生きたまま拘束してメスを入れて反応を楽しみそうなイメージでした…! 木畑 多朗:で、1vs1になったら負けないだろうという状況に持ち込めそうだったから交渉の末、 木畑 多朗:俺は有田を拘束する、有田は安全であろう場所に身を隠してその場所を秘匿することで合意したというわけだな。 木畑 多朗:考えてもみろ。4人全員普通に寝てて侵入者に誰も気づかないなんてありうるか? 鬼怒 凛:盛られていた・・・? 御数木 梓紗:え、侵入者? 御数木 梓紗:ウチの家に誰かが入り込んでたってこと? 弟切 月渚:私は一回寝ると叩かれても起きないですけど… 木畑 多朗:いや、まぁこれは俺と有田との約束だから納得してくれ... アズサも悪い。変な話して... 弟切 月渚:うぅーん侵入者のアレコレを加味しても 弟切 月渚:有田先輩の居場所は私達にも教えてもらえないんですか? 木畑 多朗:いや男と男の約束なんだ。頼む無理だと思うが納得してくれ。
御数木 梓紗:有田君はそば食べないの? 弟切 月渚:そうですよそば楽しみにしてたのに 鬼怒 凛:いや・・・ 弟切 月渚:もうちょっと気になることがあるんですけど…木畑先輩は有田先輩の薬をどう発見したんですか? 弟切 月渚:有田先輩の荷物が漁られてた形跡があるっていうのはそういう…? 木畑 多朗:いや、それも有田の安全にかかわる問題だから話せん... 誰が敵なのかわからないのはみんな同じじゃないか? 弟切 月渚:え 御数木 梓紗:え…… 弟切 月渚:木畑先輩は 弟切 月渚:私の敵なんですか…!? 御数木 梓紗:お、おちついて。ひとまず有田君は無事なんだよね? 木畑 多朗:(俺は村全体が敵だと思っているぞ...ヒソヒソ 弟切 月渚:(ああそういう…そのへんは私も背景を得ましたし… 鬼怒 凛:(その村人に薬について知られたってこと?ヒソヒソ 御数木 梓紗:? 木畑 多朗:(とにかくあいつらは俺たちを監視するすべを持っている。迂闊なことはしゃべれんぞ。 弟切 月渚:(えっめっちゃ喋った… 鬼怒 凛:めっちゃ喋った 木畑 多朗:有田がここにいない理由をしゃべらんわけには行かんだろ... 鬼怒 凛:いつ戻ってくんの? 木畑 多朗:一晩の約束だ。今日が儀式最後って話だったから。 御数木 梓紗:今夜は参加できるの? 御数木 梓紗:どうしよっか?二人が納得してるならそれでいいけど…… 鬼怒 凛:とりあえず蕎麦食うか 弟切 月渚:とりあえずお蕎麦食べにいきませんか? 弟切 月渚:お腹すいた 木畑 多朗:あ、飯優先なんだ... 結構な問題だが。 弟切 月渚:木畑先輩だけが有田先輩の居場所を知っているということなので 弟切 月渚:有田先輩に冷たいお蕎麦を持ち帰ってもらいましょう KP:(有田はひとまず捨て置かれる。蕎麦の勝利) |
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2.冷たい味 |
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KP:食堂「かつら木」はこの村で唯一の食事処だ。駐車場には一台のバイクが留まっていた。 KP:暖簾をくぐれば蕎麦のいい香りが立ちこめてくる。店内に客は自分たちの他に一人だけ。 その男が表にあるバイクの持ち主であることは確かだろう。卓上にタブレットを置いて蕎麦をすすっている。
葛木 葉子:いらっしゃい!あら……梓紗ちゃんの友達? 御数木 梓紗:梓紗は挨拶しつつ、蕎麦を5つ注文します。 御数木 梓紗:……で、よかったよね? 弟切 月渚:b 鬼怒 凛:うん 木畑 多朗:持ち帰れるならそれで。 葛木 葉子:店員は注文を厨房に伝えた後、そのまま梓紗に尋ねます。 葛木 葉子:「そっか、今日が三日目だもんね。きっと、お母さんも喜んでるでしょ」 御数木 梓紗:「えぇ……はい。ちょっとしんどいですけど、今日で終わりですから」 葛木 葉子:「じゃあ、持ち帰りの蕎麦は帰り際に渡すから、また声かけてね」 KP:店員は伝票を手短に書きまとめ、厨房へと消えていく。 弟切 月渚:そういえば三日目?なんですか? 御数木 梓紗:あぁ、そうだよ?最初に言わなかったっけ。 鬼怒 凛:言ってたね 鬼怒 凛:一日目の儀式はどんなだったの? 弟切 月渚:そうでしたっけ? 御数木 梓紗:一日目は基本的に親族しか入れないからさ。 御数木 梓紗:やることは同じだよ。 鬼怒 凛:同じ事やんの? 木畑 多朗:なんかよくわかんない儀式だな 鬼怒 凛:今夜も? 御数木 梓紗:基本的にはね。 KP:話している間に、蕎麦が運ばれてきた。そば粉の香り高いにおいが漂ってきて、鼻先をくすぐる。 弟切 月渚:良い匂い!! KP:そばは一口でかみ切れるのに弾力は強く、ほどよい粗さがつゆを引き立てている。 KP:強い蕎麦の風味を地産のワサビがまとめており、しつこさは全くない。 弟切 月渚:ずるずるっ…!このままだと死んじゃうかもしれない…! 弟切 月渚:美味しすぎて…! 木畑 多朗:そのためのライフセーバーだろう。いくらでも死にかけろ。何度でも助ける。
鬼怒 凛:(もう1人の客だれだろう・・・ 弟切 月渚:(バイク‥・ KP:黒いジャケットを着た、一回りか二回り年上の男ですね。
小野田 偉作:タブレットを操作しながら蕎麦をすすっている。 弟切 月渚:バイクってことはあの人も外から来た人なんですかね…?(ヒソヒソ 鬼怒 凛:(胡散臭そう 御数木 梓紗:んー、私も村の人間全員知ってるわけじゃないからなぁ…… 弟切 月渚:食レポブロガーと見ました 木畑 多朗:この行事が大々的に告知されてるとは思えんし観光客とは思えないがなぁ 御数木 梓紗:ま、ココに食べに来る人って結構いるし、珍しくもないと思うよ。 木畑 多朗:じゃあいいとこの蕎麦屋だったんだなー 木畑 多朗:どーりで美味いわけだ 弟切 月渚:人気って話でしたからね 小野田 偉作:男は蕎麦を食べ終わり、こちらに近づいてきます。 小野田 偉作:どうも、この村の方ですか? 木畑 多朗:いや俺たちは違う。 鬼怒 凛:こっちの子がそう 弟切 月渚:多分そう部分的にそう 御数木 梓紗:私はそうだけど…… 小野田 偉作:観光ですか、でも大変じゃなかったですか? 小野田 偉作:ツーリング仲間というわけでもなさそうですし…… 鬼怒 凛:大変というのは? 小野田 偉作:いや、道がふさがっていましたでしょう? 弟切 月渚:地元のミカズキ先輩の運転でしたし… 弟切 月渚:え? 鬼怒 凛:道が・・・ 木畑 多朗:ん? 弟切 月渚:そ、それはいつのこと…!? 小野田 偉作:木が二、三本道路に切り倒されて、今バスは止まってるんですよ。 小野田 偉作:朝から撤去作業中だとか。普通車は通行できませんから、バイクでよかったですよ。 鬼怒 凛:・・・なるほどね 弟切 月渚:何日前ですか? 木畑 多朗:(これやっぱ村ぐるみじゃないのか? ヒソヒソ 小野田 偉作:んー、昨日の夜から朝の間じゃないですか?撤去してる人たちにちょっと話を聞いただけですが。 弟切 月渚:成程… 弟切 月渚:私達はちょうどその前に村入りしましたから 鬼怒 凛:じゃあ当分帰れそうにないな 木畑 多朗:どーやって帰ればいいんだ... 小野田 偉作:ところで……申し遅れました。 小野田 偉作:私「ルルイエ」という雑誌のライターをやっていまして、小野田 偉作と申します。 弟切 月渚:ライターさん 鬼怒 凛:(恍惚なる 弟切 月渚:(俺もちょっとそれ思ったw 小野田 偉作:ちょっと怪奇事件だとかそういった物を扱ってましてね。まぁ、うさんくさい雑誌だと思ってください。 鬼怒 凛:きぬ りん だ 弟切 月渚:ウサギちゃんと似たような… 弟切 月渚:ウサギちゃんは地元民ですけど… 小野田 偉作:地元の方ならこのあたりの昔話についてご存じかと思いまして、お話伺ってもよろしいでしょうか? 弟切 月渚:ちょうどさっきお寺いってきたんで 弟切 月渚:私も語れますよ…!(ドヤ 鬼怒 凛:あたしも聞きたいな 木畑 多朗:そーいえばその手の話俺聞いてないな 御数木 梓紗:梓紗は眉をひそめている。 木畑 多朗:みんなどの辺回ってたんだ? 鬼怒 凛:神社 弟切 月渚:雑貨屋とお寺。 小野田 偉作:うーん、では……… 小野田 偉作:10年前の殺人事件について、当時のお話をご存じでないですか? 小野田 偉作:謝礼はお支払いいたします。いかがですか? 弟切 月渚:えぇ…!? 鬼怒 凛:殺人事件? 小野田 偉作:えぇ。 弟切 月渚:知らなかったそんなの… 弟切 月渚:ミカズキ先輩は…!? 鬼怒 凛:どんな概要? 御数木 梓紗:梓沙は黙ってコップの水を眺めています。 小野田 偉作:未解決事件なんですよ。 木畑 多朗:未解決事件ねー... 小野田 偉作: 10年前、一夜のうちに夫婦の夫が殺され、妻は行方不明に。 状況から容疑者は妻とされていますが、今も見つかっていないそうです。 木畑 多朗:(これも生贄にされたとかそーいう話じゃねーだろうな... 鬼怒 凛:(ありえる 弟切 月渚:(妻のほうがお母ちゃんかな? 御数木 梓紗:別に、不仲な夫婦なんてどこにでもいるもんだよ。珍しい話じゃない。 弟切 月渚:被害者のことはミカズキ先輩ご存知な人なんですか? 御数木 梓紗:私は……当時子供だったから、よくわかんない。 小野田 偉作: 「しかし」と小野田は続けます。 小野田 偉作: 隣家の住人の通報によって事件が発覚したそうなのですが……現場には隣家に住む少年と、二人の女の子がいたそうです。 小野田 偉作: 女の子は二人ともずぶ濡れで、酷く体温が低下しており事情聴取が行える状態ではなかったため、パトカーで護送されていきました。 小野田 偉作: しかし……走行中のパトカーから女の子が一人、忽然と消えてしまったそうなのです。 小野田 偉作: その後近隣に事情聴取を行ったところ、その家に女の子は一人しかいない。 護送された女の子に妹はいたが、事件の数ヶ月前には亡くなっていると…… 弟切 月渚:(隣の男の子とエーズィーエスと牧野…数は合う 弟切 月渚:ええ・・・何それ 弟切 月渚:ホラーじゃないですか 小野田 偉作:ねぇ、興味深いでしょう?当時はそれなりに騒がれたんですよ、この事件。 鬼怒 凛:ふーん・・・ 木畑 多朗:まぁ確かにオカルトライターが好みそうなネタではあるなー 小野田 偉作:一通り当時の記事を探しましたが、夫の会社側から浮気のウラがとれたそうですね。動機は怨恨かと。 弟切 月渚:(AZSに心理学ふってもらってもいいかな? 弟切 月渚:(「よくしらない」のが本当そうなのか嘘なのか… 御数木 梓紗:小野田は「何かご存じじゃないですか?」と訪ねるが、梓紗は顔を伏している。 鬼怒 凛:・・・ 弟切 月渚:(じゃあキヌリン任せた!
鬼怒 凛:・・・仮に彼女が関係者だったとしたら、ちょっと失礼じゃないですか? 小野田 偉作:いや、すみません。村の中では有名なものだとばかり。 木畑 多朗:だからこそタブーってこともあるんじゃねーかなよくわかんねーけど 鬼怒 凛:あっちに雑貨屋があるんで、そこの店員に聞いてみたらどうです? 鬼怒 凛:(と言いながら外にエスコートするかな 小野田 偉作:そうさせてもらいましょうか。ありがとうございます。 小野田 偉作:暫くはこの村にいますので、何かわかったら教えてください。 鬼怒 凛:はいはい 弟切 月渚:はい、はい 小野田 偉作:ちょっと不躾とは思いますが、私もネタを持ち帰らないと上司にどやされてしまいますのでね。 鬼怒 凛:かわいそう 木畑 多朗:マジかよ赤竜出版サイテーだな 弟切 月渚:大変そうですね
小野田 偉作:小野田はそのまま雑貨屋に行きますね。 ![]() 御数木 梓紗:……凛、ありがとう。 鬼怒 凛:うん、いいの 御数木 梓紗:あんまり知らない事件だけど、まぁご飯の時に聞きたい話じゃないよね。 御数木 梓紗:ごめんね。じゃ、行こっか。 弟切 月渚:じゃあこれからどうしましょう 弟切 月渚:木畑先輩は有田先輩に宅配? 木畑 多朗:午後はどーする? 俺はそーするが。 鬼怒 凛:宅配は1人じゃないと駄目なの? 木畑 多朗:これは約束だから誰もついてきてほしくないが... 弟切 月渚:男と男の約束みたいなので… 弟切 月渚:私達女は女でよろしくやってるしか… 鬼怒 凛:じゃあそうしよっか 木畑 多朗:そういうことで飲んでくれるなら助かる。 御数木 梓紗:あと見る場所って言ったら…… 御数木 梓紗:ワサビ畑とか朽咲川とかぐらいかな。 鬼怒 凛:川行ってみよ 弟切 月渚:あっちの竹林は何かないすか? 弟切 月渚:(なんかInsertが働いてヤイチみたいになった 御数木 梓紗:うーん、竹林が続いてるだけ。見たい? 弟切 月渚:パンダとかいない? 御数木 梓紗:タケノコぐらいはとれるかも。 鬼怒 凛:野生のパンダいたらヤバいな 木畑 多朗:パンダってUMAだったんだぞ... 弟切 月渚:人食い鬼の伝説も野生のパンダによるものかもしれませんし… 弟切 月渚:川、今は流れが穏やかなんですか…? 御数木 梓紗:しばらく雨が降ってないしね。 弟切 月渚:たしか危ないって話でしたけど 弟切 月渚:ふうむ…じゃあひとまずそれで 弟切 月渚:また晩ごはんあたりにお家で集合かな 鬼怒 凛:OK 木畑 多朗:じゃあ行ってくる 弟切 月渚:行ってら~ 御数木 梓紗:あ、タロウくん、有田君にお蕎麦持って行って。 弟切 月渚:蕎麦も持たずに宅配とな!? 御数木 梓紗:一つ包んでもらってるから。 木畑 多朗:おうもちろん。 |
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